入栄はかすかに目を細めた。 双眸に宿る光が形を変える。 いきなり立ち上る色香に抗えず、柊は思考を絡め取られていくのを感じながら続く言葉を待った。 「―――だって俺も、傷心した吉崎さんを、こうして誘惑してるでしょ……?」 同じだよ、俺たちは―――。 だから、幻滅なんてするはずない。