「バイト?」 「今日だけね」 「似合ってるね」 空耳かと思って入栄を振り仰ぐと、それ、と柊の服を指し示し、 「サンタ。似合ってる」と微笑んだ。 「あ、ありがとう」 真に受けたわけではないけれど、異性に褒められることの滅多にない柊は自然とすこしだけ声が高くなる。 「ほんとだよ」と入栄が妙に改まった声で念を押した。 視線を上げる。 どきっとした。 入栄はなぜか真顔だった。 「―――ほんと、持って帰りたいくらい」 淡い吐息のような、切ないくらいの声だった。