そもそもクリスマスに生まれてきた自分に言いたい。

 おまえよくその日に出てきたなと。

 あと一週間ぐらい腹の中で粘れなかったのか。
 あるいは一週間早く出てくるとか。

 世の中の子どもたちが、誕生日とクリスマスとに分けてもらえる×2のケーキやプレゼントを、
 柊は昔から決まってただの1つきりである。

 それでも昔は祝ってもらえることがただ純粋にうれしくて、無邪気に喜んでいたものだけれど、
 年を重ねるにつれすこしずつものを考えられるようになると、
 ちょっと待て、考えてみればこれって不公平じゃね? という疑念を抱くようになった。

 それについて母は小さく舌打ちをした。

 ばれたか、と露骨にめんどくさそうに逸らした眸の焦点がいきなり遠のいたのを覚えている。

 ……というのも、柊には姉が2人いるのだが、2人とも誕生日になるとなかなか大層なプレゼントをもらい、
 クリスマスにも同じだけのプレゼントをしっかりもらっているのだ。

 柊の目を誤魔化そうというなら、もっと本腰を入れて騙(だま)すべきだった。

 いずれ不満に思わないはずがない―――というのがまず一点。

 また、クリスマスは冬休みに入っていることも多く、友だちに祝ってもらいづらいという哀しさ一点。

 クリスマスパーティを開けばプレゼント交換が定番だが、誕生日がダブる柊を気遣って、プレゼントを2つ用意しようとする心優しい友だちに、
 気持ちだけで十分だから、と自ら遠慮しなければいけない虚しさ。

 わたしはあんたのバースデイにちゃんと贈り物をしたのに!

 ……とどうしても思ってしまう己の狭量さにもうんざりする。


 そして最後。


 ……なんだかんだいって結局はこれ―――「恋」である。