「ありがとうございました。じゃあ、さようなら。」


もうBarへ行く気分にはなれなかった。新田に挨拶をすると、私はまっすぐ自宅へ向かった。



会いたくなかった。学にも、愛理にも。もう二度と顔を見たくなかった。忘れてしまいたかった。

出会ってしまったせいで、やっとカサブタになった心の傷口がまた開いた。そして傷口から再び血が流れ出した。