誰も信じない

一樹の腕の力が緩んだ瞬間、

私は走り出して一樹のところから離れた。



一樹は追いかけて来なかった。



これで私は、また一人になった。

また一人っきりになった。

ただ前回と違うのは、前回は裏切られて傷ついて一人だったけれど、今回は裏切って傷つけて一人になった。



同じ一人でも全然違う。

どっちも違った苦しみが伴った。



実は決断をした翌日、すぐに実行を移したことがある。