誰も信じない

「お待たせ!」


私は晃一の車の助手席に乗った。


「その席は指定席でさ、美穂だけの席だから。(笑)」


私がシートベルトを締めていたら、晃一が嬉しくなる言葉をくれた。

こうして晃一は、いつも何かをくれる。

いつでも大切にしてくれる。

いつも想っていてくれる。



心の中にいる新田さんを、追い出さなくちゃ。

でないと、晃一を傷つけてしまう。

晃一を裏切ってしまう。



ううん。

こうして思っているだけで、すでに私は裏切っているんだよね。