誰も信じない

「今回の噂は、一樹…いや、新田さんが聞いたって話してくれたの。」


「寺田さん、新田さんを名前で呼んでいるんですか?」


心の中がざわざわしている。

なぜ?


「あ、ここだけの話ね。私、一樹と親戚になったの。」


「知ってます。新田さんから聞きました。」


「じゃあ、橘さんの前では『一樹』っていつものように言うね。会社の人には内緒にしてね。」


「はい。」


もやもやとした胸の中。

すっきりしない。

うまく言えないんだけど、




泣きそう。