『この薄っぺらい木でできたやつがリードっていって、これを震わせて音を出すの。』
先輩が説明してくれた。
『で、これをこうくわえて、吹く。』
トートートー
とてもしっかりとした音が響いた。
『…やってみて？』
「は、はい！」
フゥーーフゥーー
『んー、もうちょっとしっかりと口でくわえてみて？』
「は、はい。」
トーフーーーッ
『おぉっ！ちょっと音出てきたね！』
トーフゥーーフゥーートー
『うん、当たってはきたね。じゃあ、本体つけよっか！』
「はい！」
『これをここにつけて、とりあえず何もおさえずに吹いてみて？』
「はい…」
フゥーーーフゥーーー
フゥーーーフゥーーー
何回もやってはみるものの、
先輩のような、秋美奈のような、音は出ない。
『うーん、サックスのほうがいいかなぁ…。ちょっとサックスやってみる？』
「は、はい！」
