今日子は燻っていた自分の気持ちを打ち明けた。
同棲が始まって、植草に報告がてら、このことを相談した。
「そう思うのは当たり前よ。知り合ってからは長いかもしれないけれど、男女の関係になったのはここ一か月よ。それも後藤君の押しの一手で押し倒されて。林さんが自分の思いと考えをじっくり考える間もなく、一緒に住み始めてしまったのだから」
「部長のことは、好きだと思うんです。今まで抱いたことのない感情があるのは確かです。でも、部長は仕事ができ、女子社員だけでなく、男性社員からも憧れられる存在なんです。そんな方が私のような地味で、なんの取り柄もない女でいいのだろうかと、もっと他に素敵な女性がいるのにと、思わない日はないんです」
後藤が本社に戻ってからまだ一か月を過ぎた状態だ。今日子がそう思って不思議ではない。むしろ、思う方が当たり前だ。
「そうね、私が林さんの立場だったら同じことを思うわね。後藤君が海外赴任している間、林さんのことを耳にタコが出来るほど聞いて来たから、考え過ぎなのよと言えるけれど……。あの人、向こうに行っている時でも、あの容姿で、さらに仕事が出来る男でしょ? 言い寄って来た女は多かったのよ。もちろん金髪美女も例外じゃないわ」
「やっぱり」
そこは今日子も考えないでもなかった。
「でも、見向きもしなかったわ。一心不乱に仕事をしてあなたのもとに帰って来たのよ。頭の中にあるのは、林さんの事ばかり。彼も、林さんに認められる男でありたいと、必死だったのよ」
「……」
「その思いだけは信じてあげて、いや違うわ。後藤君の強い思いに林さんが降参して。お願い」
「そんなこと、私が思う立場じゃないです」
「また、自分を卑下しちゃって、だめね。林さん、その悩みを後藤君に言ったことはある?」
植草に言われて考えたが、考えるまでもなく言ったことはない。後藤に従ってここまで来たのだから。
「いいえ」
「ちゃんと向き合って伝えてみなさい。後藤君は受け止めてくれる人よ」
同棲が始まって、植草に報告がてら、このことを相談した。
「そう思うのは当たり前よ。知り合ってからは長いかもしれないけれど、男女の関係になったのはここ一か月よ。それも後藤君の押しの一手で押し倒されて。林さんが自分の思いと考えをじっくり考える間もなく、一緒に住み始めてしまったのだから」
「部長のことは、好きだと思うんです。今まで抱いたことのない感情があるのは確かです。でも、部長は仕事ができ、女子社員だけでなく、男性社員からも憧れられる存在なんです。そんな方が私のような地味で、なんの取り柄もない女でいいのだろうかと、もっと他に素敵な女性がいるのにと、思わない日はないんです」
後藤が本社に戻ってからまだ一か月を過ぎた状態だ。今日子がそう思って不思議ではない。むしろ、思う方が当たり前だ。
「そうね、私が林さんの立場だったら同じことを思うわね。後藤君が海外赴任している間、林さんのことを耳にタコが出来るほど聞いて来たから、考え過ぎなのよと言えるけれど……。あの人、向こうに行っている時でも、あの容姿で、さらに仕事が出来る男でしょ? 言い寄って来た女は多かったのよ。もちろん金髪美女も例外じゃないわ」
「やっぱり」
そこは今日子も考えないでもなかった。
「でも、見向きもしなかったわ。一心不乱に仕事をしてあなたのもとに帰って来たのよ。頭の中にあるのは、林さんの事ばかり。彼も、林さんに認められる男でありたいと、必死だったのよ」
「……」
「その思いだけは信じてあげて、いや違うわ。後藤君の強い思いに林さんが降参して。お願い」
「そんなこと、私が思う立場じゃないです」
「また、自分を卑下しちゃって、だめね。林さん、その悩みを後藤君に言ったことはある?」
植草に言われて考えたが、考えるまでもなく言ったことはない。後藤に従ってここまで来たのだから。
「いいえ」
「ちゃんと向き合って伝えてみなさい。後藤君は受け止めてくれる人よ」



