俺と初めての恋愛をしよう

「今日子?着いたぞ、歩けるか?」
「うん……。大丈夫です」

そう言ってはいるものの、足元はかなり危うい。

「今日子、さあ降りるぞ?」
「……はい。部長」

取りあえず、今日子のバッグを肩にかけ、今日子を支えながら車から降ろす。迎えに行った時はまだしっかりと立っていたが、寝てしまって酔いがまわったのだろう。
ふらふらの今日子を何とか自宅に運びリビングのソファに座らせる。
後藤は、水を持って来て飲ませる。

「今日子、水だ。少し飲んでごらん」

今日子の口元にコップの口をつけ、水を飲ませる。よほど喉が渇いていたのか、一気に水を飲み干した。
まだ足らないようで、おかわりを要求する。

「もっと……」

うつろな目で色っぽく誘うその言葉は水を要求するもだが、両腕を後藤の首に回し要求する仕草で男を誘っているのかと錯覚してしまう。
要求通り水を飲ませば満足したのか、ニコリと極上の微笑を見せた。
酔っていなかったら押し倒していたところだ。

「随分飲んだんだな」
「皆と楽しかったです」

首に回した手を離さず、今日子は嬉しそうに話す。

「でも、飲み過ぎには注意だぞ?俺が一緒のときはいいが。分かるか?」
「はい……お水」
「ほら」

同じようにまた水を飲ませる。
するとそのままソファに倒れ寝息をかき始めた。首に回した手はそのままに倒れたので自然と今日子の上に覆い被さるような形になった。
首にかかった手をそっとほどき、まじまじと見つめる。この顔のどこが醜いのか、否定するところがどこにあるのか、今日子の顔を暫く見つめる。
後藤は、今日子を寝室に運び、着替えさせるために洋服を脱がせる。
キャミソールだけにすると真っ白な透き通る肌が際立つ。目の前に一番欲しい女がそこにいるのに欲情が抑えられている自分はなんと紳士なのだろうと心の中で褒めた。
少し反省させる意味と後藤自身のご褒美にネグリジェを着せることなく、下着とキャミソールだけで寝かせ布団を掛けた。
厭らしいのは百も承知だ。後藤も男だ、厭らしいに決まっている。と開き直った。

「あー、今夜も眠れない」