俺と初めての恋愛をしよう

「かのじょおー、誰か待ってるの?一緒に飲みに行こうよ」

腕を掴まれて後ずさりするが、足元がおぼつかなく、ふらふらになる。しかし、恐怖で酔いが覚める。

「かわいいじゃん。一緒に飲もうよ」
「や、やめてください」
「なに、泣いてたの? 慰めてあげるからさあ」
「いや、離して」

今日子が振りほどこうとしても、男の力にはかなわない。酔ってはいても男だ、掴んだ腕は離そうとしない。
更に腕を引っ張られて抱き付かれそうになったとき、

「今日子!お前俺の女に何してる!」

後藤が絡んでいた男を突き飛ばし、自分の背に今日子を隠した。

「ちっ、なんだよ男連れかよ」

酔った男はよたよたしながら去って行った。
今日子は後藤の胸に顔を隠し震えた。

「今日子?大丈夫か?どこも何ともないか?」
「……怖かった」
「迎えに来るのが遅くなっちゃったな。ごめんな」

首を横に振る。

「さあ、家に帰ろう」

今日子の肩をしっかりと抱き、車へ行く。
絡まれて少し酔いは醒めたが、足元はおぼつかない。
しっかりと支えてくれる後藤に頼もしさを感じた。

「さあ、乗って」

助手席のドアを開け乗せる。今日子のシートベルトを締めてドアを閉めた。

「今日子、泣くな、な?」
「は、はい」