俺と初めての恋愛をしよう

羨ましそうに、井上と高木が言った。
高木は、飲むと顔にでるらしく、既に顔は首まで赤くなっている。

「でも、今は浮いた噂一つないけど、彼女いないのかな?」
「そんな訳ないだろう? あれほどの人だぞ、女は放っておかないだろう、居るに決まってるじゃんか。なあ、高木?」
「ああ、部長って、涼しい顔して独占欲強いぞ絶対、俺様な感じがプンプンする」

鋭い観察力に今日子はたじたじだ。
若い井上と高木は、つまみが置かれると、片っ端から片づけて腹に収めた。それを今日子は唖然として見る。
豪快に吸い込まれる食べ物が、気持ちいいくらいに目の前から消えていく。

「林さんは彼氏いないんですか?」
「は!? い、居ません!」

急にそんな話を振られ、びっくりして大きな声をだした。

「はは、林さん動揺しすぎっすよ。なんか、支えたくなっちゃうな」
「えー!!」
「ちょっと、井上君酔ってるの?純情な林さんをからかい過ぎ」

更にドキドキしてしまって、アルコールがどんどん進む。
たまに家で缶チューハイを飲むくらいで、自分がどれくらい飲めるのか、今日子は知らない。
会社の付き合いも一杯だけに止めているし、どこまで飲めるのか知らないのだ。
だが、今の状態を見る限りでも、酒には弱い。

「でも、私、冗談抜きに林さん、部長とお似合いだと思いますけど?」
「ごほっ、ごほっ」
「大丈夫ですか?」

急にそんなことをいいだし、今日子は焦ってむせた。

「ちょっと、ごめんなさい。変なこと言わないで下さい、佐々木さん!」
「林さん、本当にかわいい。彼氏がいたら心配し過ぎて心労で倒れちゃうかも。うふ」