正直、疲れが取れず、スーパーに買い出しに行くくらいが限度だった。
だが、後藤の申し出を断るのも申し訳なくて、言葉に詰まる。
そんな今日子の様子を後藤が分からないはずもなく、今日子を抱き上げると、寝室のベッドに運んだ。
「ぶ、部長!」
「少し休みなさい。昼寝でもすればいい。適当な時間で起こそう」
「部長……」
額にかかっている髪を掻き分け、後藤はキスをする。
「すみません」
「何を謝る? 引っ越しは疲れるものだ、昼寝でもすれば疲れが取れるだろう。夕飯は楽しみにしている」
「はい」
後藤の優しさに甘え、今日子はゆっくりと瞼を閉じる。
さして眠くもなかったが、目を閉じると自然に意識が遠のいて行った。
後藤は今日子の寝顔を暫く見つめ、寝室を出る。この一週間は、残業をしないで帰って来たせいか、仕事が溜まっていた。
今日子が気にすると思い、持ち帰った仕事も少し手を付けただけにしていた。
後藤は、書斎にしてある部屋に仕事を持ち込み、手早く処理することにする。
仕事場の今日子は、突起して仕事が出来るわけではないが、優しく、よく気が付く所が仕事にも現れ、幾つもの仕事を抱えても、効率よくこなすタイプだった。
だが、こと、自分の恋愛となると、途端に不器用になる。これまで付き合った経験もなければ、恋愛経験もないのだから、不思議なことではない。
まして、後藤に強引に迫られ、一緒に暮らすことにまでなったのだ、この生活に慣れるのが大変なことなのだ。そこへ通常通りに仕事をしなければならないときたら、パニックになるのは当たり前だ。
今日子の物静かな性格だからこそ、きちんと見てやらなくてはならないのだ。
後藤は、今日子のその先を考えていた。
だが、後藤の申し出を断るのも申し訳なくて、言葉に詰まる。
そんな今日子の様子を後藤が分からないはずもなく、今日子を抱き上げると、寝室のベッドに運んだ。
「ぶ、部長!」
「少し休みなさい。昼寝でもすればいい。適当な時間で起こそう」
「部長……」
額にかかっている髪を掻き分け、後藤はキスをする。
「すみません」
「何を謝る? 引っ越しは疲れるものだ、昼寝でもすれば疲れが取れるだろう。夕飯は楽しみにしている」
「はい」
後藤の優しさに甘え、今日子はゆっくりと瞼を閉じる。
さして眠くもなかったが、目を閉じると自然に意識が遠のいて行った。
後藤は今日子の寝顔を暫く見つめ、寝室を出る。この一週間は、残業をしないで帰って来たせいか、仕事が溜まっていた。
今日子が気にすると思い、持ち帰った仕事も少し手を付けただけにしていた。
後藤は、書斎にしてある部屋に仕事を持ち込み、手早く処理することにする。
仕事場の今日子は、突起して仕事が出来るわけではないが、優しく、よく気が付く所が仕事にも現れ、幾つもの仕事を抱えても、効率よくこなすタイプだった。
だが、こと、自分の恋愛となると、途端に不器用になる。これまで付き合った経験もなければ、恋愛経験もないのだから、不思議なことではない。
まして、後藤に強引に迫られ、一緒に暮らすことにまでなったのだ、この生活に慣れるのが大変なことなのだ。そこへ通常通りに仕事をしなければならないときたら、パニックになるのは当たり前だ。
今日子の物静かな性格だからこそ、きちんと見てやらなくてはならないのだ。
後藤は、今日子のその先を考えていた。



