ミナミの許容範囲を越えて襲いかかったそのショックは、次第に心だけではなく、ミナミの身体をも蝕んでいった。
頭痛、腹痛、吐き気、食欲不振、呼吸困難、など、日によって様々な不調を訴えるようになり、当時働いていた会社も辞めざるを得なくなった。
もちろん病院には連れて行ったが、精神的ストレスが最大の要因だからと、これと言って有効な手立てはなかった。
どんな薬も、ただの気休めでしかない。
「…俺、そのとき、ミナミをしっかり支えてやれなかった。俺が1番…誰より、支えてやらなきゃいけない筈だったのに…。その後悔だけは、忘れられなくて」
話しながら、思い出していく。
あの、苦しかった日々。
日に日に、目に見えてやつれていくミナミ。
俺が元気づけようとしてかける言葉も、連れていく場所や見せるものも、ほんの一瞬の安らぎや笑顔を思い出させてはくれても、それだけだった。
俺がどんなに必死に策を練ろうと、いつまで経っても劇的な回復を見せる兆しのないミナミの心と身体を、少しずつ俺は持て余し始めた。
