あたしは、瞬きも忘れて、陽菜を見つめた。
「…え?」
「似てる人かもしれないし、そうだったら余計な心配させるだけだから、すぐには言わないでいたの。けど、今、写真見て確信したから、言った」
「いつ?どこで…」
「昨日。三茶の駅前で見かけた。トイプードル、飼ってるって言ってたよね。連れてたよ」
三茶。トイプードル。
拓真に繋がるキーワードが陽菜の口から出てくるたびに、胸の中にざわざわと音を立てて、波紋が拡がっていく。
「たまたま、昨日ね。TVでやってたレストランに行こうってことになってさ、行ったの、三茶。そしたら」
「でも、女って言ったって、友達かも」
あたしは、頭の中でいくつもの可能性を考えてみる。
あたしにだって、少ないけれど男友達なら、いる。
…でも、あたしは男友達と2人きりでは、会わないけど。
そう思ってまた、言い聞かせる。
でも、拓真は会うのかもしれないし。
もしそうなら、友達と会っただけで妙な疑いをかけることになる。
慎重に、見極めないと。
騒ぐ心に、必死で言い聞かせる。
