あたしは急いで陽菜の手から携帯を奪い取る。

「ごめんごめん。つい。そんな拒否らなくてもよくない?Hな写真じゃあるまいしー」
「バカ!それでも、恥ずかしいよ」

陽菜は、あたしを茶化して笑う。

「あはは、ごめんって。でも楽しそうだねほんと。安心した」
「…心配だった?」
「んー、最初はね。付き合い出したの聞いたときも、どうなるのかなと思ってたんだけど。実は。でもその写真見たら仲良くやってそうだし、大丈夫かな」
「お母さんみたいなこと言うね」
「彩乃が傷ついたり、泣いたりするとこ見たくないって思ってるだけ。親でも友達でも一緒だよ、それは」

あたしは、少しぬるくなったココアを飲み干した。

「…ありがと」
「ううん」

陽菜もカフェラテに口をつけ、少しの間沈黙が訪れる。
カチャ、と小さな音を立ててカップを置くと、ひと呼吸おいてから陽菜はその厚めの唇を開いた。

「…だから、言うね」
「え?」
「あたし、拓真くんが彩乃じゃない女といるとこ、見た」