早く、と、手をひらひらさせながらあたしを急かす陽菜。
それを制してカメラのアルバムフォルダをスクロールすると、運転席からこちらを向き、ピースをする拓真の写真を見つけた。
ついこの前、ドライブをしたとき、信号待ちで撮ったものだ。

「はい」

あたしはなぜか、いつも照れてしまう。
拓真の写真を見せるのは、なんだか不思議な気分になる。
だけど決して、嫌ではない。

「へぇ、こんな顔かぁ」
「そんな顔、ですね」
「カッコいいよね、やっぱ」
「…そう、かな」

拓真のことを褒められると、あたしは反応に困る。
変に否定する気にもなれないし、かと言って、全面的に肯定するのも自画自賛、みたいな妙な気がしてしまう。
自分のことを褒められているわけではないし、拓真は別に、あたしの所有物でもなんでもないのだから、おかしな話だけど。

「へー、なんか楽しそうじゃん」

気付くと、陽菜はあたしに断りもなく、携帯の画面を右へ右へとスクロールしていた。
そこにはそのときのドライブでの様子が連続で映し出されている。

「ちょっと、やだ!」