陽菜が頼んだカフェラテと、あたしのココアはすぐに運ばれてきた。
二階の窓際の席からは、明治通りを走る車や、歩道の人たちの姿がよく見える。
「陽菜、けっこう買ったね」
「そう?そういう彩乃も、なかなかじゃん?」
「んー、買い物、久しぶりだったから。けっこう使っちゃったな、お金」
「あたしもー。バイト代もらったばっかなのに、すでに今月ヤバイかもー」
陽菜はカフェラテを啜ると、「あつっ」と言ってカップを置いた。
「てか、久しぶりだよね。こうやって陽菜と、出かけるのも」
「んー、まぁね。彩乃が彼氏できたからじゃん?」
「えー?お互い様でしょ?」
学校やバイトでは顔を合わせているし、近況くらいは話しているけれど、こうしてゆっくり時間を合わせて会うことは、以前に比べれば減っていた。
「まぁ、そうだけど。…あ」
「ん?」
陽菜は、もう一度口に近づけた白いコーヒーカップから唇を離して、あたしを見た。
「そういやこないだ、あたし、会ったよ。優弥に」
