「じゃあ、行くか。俺の家。」

裕大は空を見上げて言う。

「うん。」

裕大は手を差し出す。

すり抜けて手が繋げないので私は首を横に振る。

「ほら。雰囲気だけでも。」

そう言って裕大は手を引っ込めることをしなかった。

私は恐る恐る手を差し出すと、私の手を取って歩き出した。

「雲雀も動かないと。俺一人だけ進んでしまう。」

そう言って切なそうに笑う裕大。

生きていたときに、引っ張ってはもらえない。

自分から動かないと進まない。

改めて自分は人間じゃない。幽霊なんだ。って思い知った。

「ごめんごめんっ!」

私は裕大と同じ人間じゃない。

生きてる時みたいに一緒に居るわけにはいかないんじゃないか。って。

そんな複雑な想いを抱えて、私は裕大と一緒に歩いた。