救ってくれたあなたに…

「離れろ…」
「永嶋…君?」
「聞こえない?離れろっつてんだよ!」
女子生徒は怯えて僕から離れる。
「お前ら、俺が来たから来たんだろ?最低だな。」
「最低なのは、明衣香じゃないの?」
「えっ?」
「みんな知ってる?神山明衣香って岡島先生と付き合ってるんだよー!」
篠上さんは教室中に声を張り上げた。
「えっ。嘘…」
「岡島先生が、、、」
僕は異常なほどの怒りが込み上げる。
「お前……」
ーパチンー
僕が言葉を遮った明衣香ちゃんが篠上さんをビンタした。
「どうした!?」
その瞬間、岡島先生が教室に入ってきた。
「先生…神山さんがビンタしてきました。」
明衣香ちゃんの頬を、すでに無数の頬が濡らしている。
僕は明衣香ちゃんの手首を掴んだ。
そして……
「篠上さん、先生とキスしてたよね」
それだけを言い残し、僕は明衣香ちゃんと教室から出て行った。
廊下ですれちがう生徒の視線を感じる。
明衣香ちゃんはうつむいたまま。
僕は、屋上ではなく特別教室に行った。
僕がよく来ている場所。
「明衣香ちゃん…大丈夫だよ」
僕がそう言うと、明衣香ちゃんは消えそうな声で言った。
「もう…疲れたよ。」
「大丈夫。大丈夫だから…」
僕はそう言って、明衣香ちゃんを抱きしめた。
明衣香ちゃんは僕の耳元で………
『今…生きてる意味が分からない』
…………そう言った。