勇気サイド

「先生…誰からも必要とされない世界で生きたことある?」
「愛を知っている先生は愛をくれる人と一緒にいないとダメなんです」
「先生好きなんて、女子生徒に口説き文句のように言ってるから聞き飽きちゃいました」
神山の気持ちが今まで、ずっと分からなかった。
でも、神山の過去を知って、不安を知って、やっと気づいた。
俺が今までずっと神山を苦しめて不安にさせてたんだ。
神山がくれたキスに小さな愛を感じた…
神山に言われて後ろを向いたとき、俺は自分の唇を触った。神山からのキスが嬉しくて…
神山が3秒数えたあと、すぐに俺は明衣香と呼び振り返った。


神山が…イナイ


初めは、どこかに隠れているのだと思っていたけれど探してもどこにもいない。
するとすぐに、頭は恐怖の考えへと進んでいく。
額に冷や汗が流れ、背筋が凍る。
ゆっくりと神山が立っていた場所へ歩み寄る。
下からは、いろんな人が叫ぶ声が聞こえた。
「人が落ちた!救急車を呼べ!」
「神山さん!しっかりして!神山さん!」
カミヤマ?
下を見れば、さっきまで自分の目の前にいた神山が血を流して倒れている。
俺はすぐに下へ降りた。

神山!明衣香!

『俺は、お前だけのために生きる。だからお前は、俺だけのために生きてくれ。」