救ってくれたあなたに…

「・・・」

俺は去ろうとする神山の手首を無言で掴んだ。

「・・ッ!離して」

「勝手に被害妄想。これお前の悪い癖だぞ」

「はっ!?なによ、それ」

「俺はお前と・・明衣香と一緒に居られたらそれでいいんだよ。満足なの」

「・・・」

神山は静かに下を向いた。

「好きな女と一緒に居られる。ただでさえ幸せなのにこれ以上高望みしたら・・・
いつかはこの幸せが消えてしまうかもしれないだろ?
だから俺は神山としたいことなんてない。これで分かったか?」

「ごめん・・・なさい」

「分かればよし!」

そう言って俺は神山の頭を撫でた。