目を力強く閉じ、最後の一粒の涙を流す。
そして私は、前に体重をあずける。

「神山!」
声が聞こえ腕を掴まれる。
強く引き寄せられる体。
私を救ってくれたのは…
「先生。」
紛れもない私の担任。岡島勇気。学校イチ、モテる存在。
「危な」
息をきらしている。
走ってきてくれたのだろう。
私は先生の胸の中で無数に流れる涙を拭った。
すると先生は必死に涙を拭く私の手を止めて言った。

「涙は拭かなくても渇くんだ。風が乾かしてくれるよ。だから、泣きたいときは泣くことだけに夢中になってればいい。」
「なんで来たんですか?」
「なんとなく…」
「来てくれなくて良かったのに。」
「そんなこと言われても体が無意識に動いちゃったんだからしょうがねぇじゃん」
「えっ?」
「好きな女ほっとける奴がどこにいんだよ」
先生…今なんて言ったの?
好き?でも先生、他の女子生徒にも言ってるから口説き文句みたいなことだよね。
「先生…冗談がすぎますよ」
そう私が言うと先生は切ない表情を浮かべた。
「誰が冗談で告白なんかすんだよ」
そして先生は私に優しく口づけした。
大人なとろけるようなキス。

『先生がくれた好きの一言は私に生きる意味を教えてくれました』