先生より先に、救急車が到着した。

私も一緒に乗り込み、救急車の中から先生と連絡をとった。


苦しそうなお母さんをこれ以上見たくなかった。



「桜!!」


「せんせ……」



病室の前で立ちすくむ私を、抱きしめてくれた先生。

倒れそうなもろい私を、いつも先生が支えてくれる。


私、先生に甘え過ぎてないかな。

先生の負担になっていないかな。



誰もいない、夜の病院。

消灯時間も過ぎ、自販機のジーッと言う音だけが響く。


先生と病院の椅子に座り、お母さんの診察が終わるのを待った。


先生は泣き崩れる私の肩を引き寄せ、ずっと私の頭を優しく撫でてくれた。

先生の肩に寄り掛かって泣いているうちに、私はいつの間にか先生の腕の中で眠ってしまった。


先生の腕の中は温かくて、すごく安心した。