その時、携帯が鳴った。


着信音ですぐに分かる。

ディスプレイに表示される“先生”の文字。


私は誰かに守られているね。

神様、かな。



『もしもし?桜?』


「先生助けて!!お母さんが…!お母さんが倒れちゃって、私どうしたらいいのか分かんなくて……」


『落ち着け!とりあえず、病院に連絡して救急車呼べ。今から行くから!』



泣きながら病院に連絡をした。

手が震えて、うまく携帯が持てない。



もともと体の弱いお母さん。


お母さんのこんな姿を目の前にしたショックと、心細さでどうにかなってしまいそうだった。


震える手で携帯を握り締めながら、ひたすら先生を待った。



何も出来なくてごめんね。


もうすぐだから。

もうすぐ、救急車が来てくれるから。


先生が、来てくれるから……。


だから、頑張って。