バタバタと足音が聞こえた。


桜か……?



「先生!!お願い、早く来て!桜が愛梨に…!」



会議室に来たのは桜ではなく、桜の親友の高橋くるみだった。


俺を探して、校舎中を走り回ったのだろう。

息が切れていた。


俺は会議室を飛び出し、桜の元へと向かった。


あいつが倒れていた、非常階段。

上の方から声がする。



「先生のとこにでも泣きつきに行くの?」



愛梨だ。


下手に出ない方がいい。



「授業でも全然相手にされてなかったクセにね~」



それは違う。


俺が桜と話せば、あいつはまた周囲からの嫌がらせにあっただろう。

静かに涙を流したあいつに、俺は頭を撫でてやることしか出来なかった。


それだけで、桜は分かってくれたはず……。



「きゃっ!」



鈍い音と共に、あいつの悲鳴が聞こえた。


俺は気が付くと、あいつの目の前へ飛び出していた。