夕日に染まっていた空は、すっかり暗くなっていた。


私は、家の前に止まる先生の車まで、先生を見送った。


「桜~。お前風邪引いてんだから、ゆっくり休んでろよぉ。俺のことはいいから!」


先生は髪をかきあげて、車のキーをポケットから出す。


「自分のことより、先生の方が大事だもん…。気をつけてね?」


私がそう言うと、先生は自分の胸の中に私を引き寄せた。


「バカ。俺もだよ…。俺、本気で桜と結婚するから。絶対幸せにするから…。」


「うん。先生、大好き…。」


私たちは、どちらともなくキスをした。



そして、車の窓から手を出して、車を走らせた先生を、見えなくなるまで見送った。