「そのあと、カコってば真っ赤になってたんだ。
いつも冷静なクセにさ」

私の隣でハルが笑った。
毎週日曜になると、一週間の話題をため込んだ様に、ハルはしゃべり続ける。
そして、友人や学校のことをはなす。
だが決して、自分の話をしたがらない。

私は気にはしたけれど、彼が楽しそうなら特に尋ねたりはしなかった。


それに、私はハルとのこの時間がとても好きだった。
時間を忘れるほどに。

「あとは、2人を置いて帰ったからわかんないけど、どうにかなったんじゃないかな~?
良い方向にさ」

ハルは喜んでいたようだった。
寂しくならないか?と訊ねると、案の定、寂しそうな顔で、「少し」と言った。


「ワカはさ、『恋人』とかいないの?」

唐突だった。
しばらく何も答えないでいると、ハルは申し訳なさそうな顔をした。


「ごめん。……その、悪気はなかったんだ」

「……いや、構わないよ」


ハルは、私を見上げた。