コンパス〜いつもそばで〜


「あっ、もしもしコウくん?
あのね、教えてほしいんだけど、エマーティ大阪だっけ?今日、練習何時から?」


えっ?


沙耶の声に顔を上げると、携帯を耳にあて、コウくんと話してる沙耶の姿が目に入る。


「って……ちょっ!沙耶っ!」

何、コウくんに電話して聞いてるのよっ。
さっき、分かったって言ったよね?
私の気持ち分かってくれたんじゃないの?


「私が見たいのっ!」

耳に当てていた携帯を肩にずらし、文句ある?というような沙耶の迫力に圧倒され、つい黙ってしまう。


つか、絶対ウソだしね。
スポーツに興味のない沙耶が見たいわけないでしょ。

何を見たいっていうのよ。
道路のアスファルトを見つめたまま、頭の中でぶつぶつ文句を言ってると、


「え?明日美?」

沙耶の口から自分の名前が出てきて顔を上げた。

「いるけど?」

何?

「あ、うん……替わってって」


沙耶はそう言って、コウくんと繋がっている携帯を差し出した。