コンパス〜いつもそばで〜


「知ってたよ、私」

「え?」

「ん〜、知ってたってより気付いてたって感じかな?」

責める風でもなく優しく沙耶が話す。


「一緒に梶野くんが出た試合観に行った時、明日美、その人だけ見てたもんね」

「え?」



そんなこと、ない。

そう言いたいけど、きっと沙耶の言う通り。
16番の選手が宮下くんだと分かった時から目は彼しか見てなかった。


「明日美見てたら、なんかあるんだろうなぁ。って思ったけど、なんか聞いちゃいけない気がして聞けなかったんだ〜」

ほらっ、明日美ってそういうの聞かれたくない感じだから。



「なんかあるんだろうなぁって思ってたんだけど、明日美にどう聞こうか考えてたらさ、コウくんがその人のこと調べてて、無理矢理聞き出したんだ」

偉いでしょ

そう言って笑う沙耶に何故か申し訳なく感じる。


沙耶に言うべきだったのかも知れない。
沙耶は、茶化したりすることなく友達のそういう話をしっかり聞いてくれる子だって分かってるのに。


ごめんね、黙ってて


そう言おうとしたら、沙耶の話はまだ続く。