「“進も〜進も〜前に向かってどこまでも〜”って、歌変わってるし」
「いいんだよ。前しか見なくて。後ろなんて振り向かなくてもさ」
「サッカーは周り見なきゃダメなんでしょ?」
「おっ、言うね〜」
そう言って笑い合ったね。
あの頃、宮下くん、悩んでいたね。
誰よりも練習しているのに結果が出てこなくて、周り気にして、楽しいはずのサッカーが楽しくなくなってきたって言ってた時だったね。
何のためにサッカーしてるんだろ
そう呟いていたの、知ってるよ。
だけど、休んだら負けだって自分で気合い入れて、這い上がろうと必死になって頑張ってたよね。
私、その時、宮下くんに何て言ったんだろう。
「休んだら?」
って声かけたんだ、私
無責任って思われるの分かってて、そう声かけたね、私。
休むの嫌いだ。一度休んだら二度と起き上がれない気がするから。
そう言う宮下くんに敢えて「休んだら?」と言ったんだ。


