コンパス〜いつもそばで〜




「俺、四月から寮生活になる」

「寮?」

「うん。チームの寮に入って、学校も寮の近くに転校する」


そう聞かされたのは、三学期の終業式が終わった放課後のことだった。


突然の別れの話になんて言っていいか分からなくて黙ってたら、

「なんか言えよ。寂し〜とかさ」

って笑いながら頭を小突かれた。


「寂し〜」

「感情込もってない、つぅ〜の」

ケラケラと笑う宮下くんに一緒に笑う余裕なんてなかったよ。


何か言ったら涙出てきそうで。


でも、これが彼には一番の選択なんだって分かってたし、だから、泣いて送るのは間違ってるような気がして、一生懸命、涙堪えたんだ。



「三時間の読書タイムともお別れだね」

「だな」

「……うん」


これが最後の会話になるのかと思うと、いっぱい話したいことがあるのに、頭の中真っ白で、言葉が出てこない。