その日は、九州から祖母がやって来る日で、学校帰宅後、駅へと祖母を迎えに行った時のこと。
黒のエナメルバッグを肩から下げて改札へ向かう宮下くんの姿があった。
「宮下くん?」
「おうっ!前田っ。どうした?こんなとこで」
「お祖母ちゃんのお迎え。そっちは?」
「俺は、今から練習」
「練習?」
「そ。サッカーの」
学校のクラブ活動じゃなくて?
頭の中ハテナマークばかりの私はどんな顔をしてたんだろう。
「前田の百面相」
そう言ってケラケラと笑う宮下くんにつられて、一緒笑ってた。
はぁ、よく笑った。と言って深呼吸を一つした後、彼の口からプロサッカーチームの名前が飛び出した。


