コンパス〜いつもそばで〜


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「俺、宮下秀之。よろしく」

「あっ、前田明日美です。よろしく」



初めて交わした会話は自己紹介。

差し出された手の大きさを今も覚えている。


力強く握られた手をどうしていいか分からなくて、されるがままにぶんぶんと手を振っていたっけ。

そうしたら、ふふっと笑って

「ちっこい手」

って言ったんだ。


そんなに小さくなんてないのに。自分の手が大きいだけなのに。
何がそんなに楽しいのか、私の手の平と自分の手の平を合わせて

「ほらっ、父親と娘って感じ」

なんて言うから、親子に例えるなんて思ってなくて、思わず笑ってしまってた。


そんな彼が、プロサッカーチームのユースに入ってるって知ったのは、それからすぐのこと。