「宮下秀之って言うんだよね、16番の選手」
「……なんで?」
なんで知ってるの?
「ちょっと調べてみたんだ〜。あ〜、ちょっとじゃないかな、いっぱい」
そう言ってコウくんは笑う。
今って携帯一つで何でも調べられるから便利だよな〜
そう言いながらコウくんは話しを続ける。
「宮下秀之。エマーティ大阪ユース出身で俺と同じ20才。攻撃的ミッドフィルダー。去年プロ入りしたけれど、怪我で去年はリーグ戦出場回数はなし。出身地は、京都。まっ、俺が知ってるのはこれくらい。
俺よりも前田の方が詳しいだろ?」
「……」
「知ってるんでしょ?彼のこと」
「……多分」
「ふふっ、何、その返事」
知ってる。
私は彼を知っている。
だけど、私が知っているのは高校生だった頃の彼。
今じゃない。
今の彼は、知らない。


