コンパス〜いつもそばで〜


「んじゃ、行くか」

「うん」



大勢の人混みを通り抜け、クラブハウスを背に駐車場へ向かう時、


「宮下選手〜!」

ファンの子だと思われる女の子の高い大きな声が聞こえて、思わず振り返る。


人混みの隙間から見えた人物

ゆっくりとファンの列に近づく16番の姿があった。



「宮、下…くん…」


そう

その人物は、私の知ってる宮下秀之だった――…