「ヒーデ!ヒーデ!ヒーデ!ヒーデ!」
宮下くんの声援に、手を頭上にして拍手で応える彼の姿は、プロの選手の姿。
そんな彼の姿がカッコよくもあり、遠い存在にも感じる。
「宮下は、ここの子だから、人一倍愛されてんもんなぁ」
そう呟いたのは、隣の席に座っている梶野くんだった。
「ここの子って?」
「ん?ユース出身ってこと。下部組織から育った子は、サポーターも愛着があるんだよ。だから、早くスタメンで見たいって思ってるんだと思う」
下部組織から上に上がれる選手なんて、毎年一人か二人。
そんな狭き門を通過して、今、ここに立っている宮下くんは、今のユースの子たちの誇りでもあり、憧れなんだろう。
“いつか自分も”
そう思わせる彼は、あの頃のまま。
ただひたすら前を向いて頑張るあの頃と今がかぶる。
あなたは、これまでどれだけ頑張ってきたのですか?
この舞台に出る為に、誰よりも頑張って頑張ったから、今、ここにいる。
真剣にウォーミングアップをしている姿をこの目に焼き付けておこう。
あの頃よりも、もっともっと上手くなった彼の姿を。


