「帰る時、声かけてくれよ」
西口先生にそう言われ、やって来た北校舎の二階。
一年の時、過ごした校舎
階段を上って、右に曲がって直ぐの教室が私の学び場だった
“1年6組”
と書かれたプレートは当時と同じ
“ガラガラガラ…”
教室に入る戸の重みも変わらない
“明日〜、おはよ〜”
“ヤバッ!英語の宿題忘れたー”
“でねっ、昨日のドラマがさ…”
“よっ!朝から仲いいね”
教室に一歩、足を踏み入れると、あの頃の声が、景色が色を帯びて蘇る。
そうして見える
廊下側から一番後ろの席で机に突っ伏して寝ている彼の姿が
そう
いつも、この席だった。
宮下くんの席は、廊下側の一番後ろ
そして、その隣が私だった。
朝、寝ている彼を起こさないように、いつも、そぉっと自分の席に座ってた。
一時間目の始まりを知らせるチャイムが目覚まし代わりで、体を伸ばして
『おはよ、前田』
って、いかにも寝起きですって言わんばかりの少しだけ掠れた低い声で挨拶してくれてた。


