「はい……」 俺の名前、知ってたんだ、この人。 真剣な目で俺を見るこの人は、何か大事なことを言いたげで、彼の次の言葉を待っていると、 「いや〜、ごめんねぇ。サインなら練習場って決まりだから」 場違いな緩い声でタカシが言う。 違うだろ、タカシ。 この人、きっとそんなんじゃないよ。 何言われるか分からないけれど、そんなことじゃないってことくらい分かる。 きっと、もっと、大事なこと。