コンパス〜いつもそばで〜


ゴール裏の観覧席に腰かけ、試合が始まるのを待つ。


日曜日ということもあって、ゴール裏はクラブチームのファンの人たちも多く、試合が始まる頃には、ベンチの半分くらいが人で埋まっていた。


各チームの選手が続々とピッチに集まってきた。


「おっ、梶野だ」

コウくんは、どうやら梶野くんを見付けたらしい。

「え?どこどこ?」

沙耶が乗り出すようにピッチを眺める。

「ほら、あの青色の18番つけてる奴」

「あっ!ほんとだっ」

沙耶のテンションが上がったのが分かった。


「いつもと雰囲気違うくない?」

「そっか?」

沙耶の言葉に同じだろと言うコウくんに、

「違うよ、何か。闘う男って感じで格好いいよね?ね、明日美」

「そう?」

「もうっ!二人とも観る目なさすぎ〜!」


そう言われても沙耶みたいに感じないのだから仕方ないじゃない。