「すみません。じゃあ、これ、宮下くんに渡してもらえますか?」

「はい、確かに預かりますっ」


ピシッと敬礼のポーズをするから思わず笑ってしまう。


「ありがとうございます」

頭を下げると、上から

「いいえ、前田さん」

そう聞こえた気がして顔を上げた。


えっ?
今、私の名前……


「お〜いっ、タカシー!」

クラブハウスの二階から誰かが顔を出して彼を呼ぶ。

「お〜、今行く〜」


じゃあ、と手を上げて行った彼の左手にはしっかりと宮下くんへの手紙があった。