「入るぞ」
「ノック忘れてるから!」
「どーせ漫画読んでるだけだろ。ノックなんて無駄」
部活を終えてあたしより3時間遅く帰ってきた三浦は、また私の部屋に入ってきた。
てゆーか、まだ3日目なのに馴染むのが早過ぎる。
「今日は何の用?」
「お前、三浦って呼ぶなって言ったのにずーっと三浦だろ」
「そんな急に変えれないもん。」
「ま、いーけど。いつかぜってぇ呼ばすし。」
「呼ばせれるもんならね!」
「それより日曜日、俺試合だから見に来いよ。西野と2人で。」
「応援くらいするけど、なに?甲子園的な?予選的な?」
「そ。一回戦。緊張すんの。俺、エースだし。二年だし。結構キツイ。だから、見に来い」
へーぇ
なんだ。
「かわいいとこあるじゃん。分かったよ。ちゃんと応援したげるから。」
「決勝まで毎試合来いよ!」
「むーり。学校あるから。」
「ちぇー。マネージャーなれよな。どーせ暇なくせに。」
「憧れだけでそんなタ○チみたいなこと言わないの。」
「お前、漫画ばっかだな。」
「あたしからそれ取ったら何も残りません。」
「じゃあ、俺が甲子園行ったら俺と付き合う?」
「あーはいはい。付き合う付き合う」
「言ったな?」
「へ?」
「忘れんなよ!」
そう言って走って自分の部屋に戻る三浦の後ろ姿を見て、もしかしてえらいこと言ってしまったのかもと思った。

