「ゆいー!ちょっと降りてらっしゃーい
!」




お母さんが自慢の大きな声で私を呼んでる。

こういう時はたいてい面倒ごと。


無視したいところだけど、無視したら更なる仕打ちが待っているので私はしぶしぶ階段を降りる。




「ちょっと早くっ」


オマケにせっかちなこの母親は、私をイラつかせる名人だ。


「なーに?私、忙しいんだけど」


「漫画読んでるだけでしょ!」



ばれてる。



「今日からね、うちに家族が増えるから」


「なに?猫でも飼うの?名前ならいくらでも決めてあげるよ!チョ◯パーがいいかな!」


「あんたその名前お母さんでも知ってるわよ。ハマり中の漫画バレバレでしょ。」



だめかな?



「そうじゃなくて、人間!小さい頃よく遊んでた、そうくんって覚えてる?」



そうくん
覚えてるに決まってる。
私の大好きだったそうくん。
今でもそうくんと似てる人を探して付き合っては別れを繰り返すくらいに、今でも大好きなそうくん。






「そうくんの家、昔お母さんが事故で亡くなってね、お父さんと2人で暮らしてたんだけど、お父さんが転勤になっちゃったって言うんでうちでそうくんを預かることにしたのよ。」




え、





「え、それってそうくんと一緒に住むってこと?」






そうよー。なんてのん気に笑ってる母だけど、私はいくらそうくんとはいえ、そんな他人と住むなんて考えられなくて頭を抱える。