魔物☆に恋して

高く茂った草の陰から、王子が登場した。

「お前か」

王子がはき捨てる。

「それと・・・おお。麗しのマヤ姫ではないか」

マヤの姿をまじまじと見る。

「おお、なんて惨いことを」

「って、あんたが捕まえたんじゃないの?」

「違う。わたしは、マヤ姫を救いに来たのだ」

「そう。じゃあ、茨をどうにかして」

「そうだな」

言うと、王子は、剣を引き抜いて、しゅしゅっと、先を振り回した。

はらり、と、茨がマヤの体から落ちてゆく。

「えらい。王子!!」

「なっ、なぜ私の名前を?」