魔物☆に恋して

と、真後ろに馬がいた。

白馬。

悲鳴と思ったのは、こいつの声だった。

立ち止まって、前脚を高く上げ、いなないている。

馬が前脚を降ろしたら、踏まれるかも。

そういうぎりぎりの距離。

でもあたしは、驚きすぎて動けなかった。

いきなり馬って。

目を見張っていると、馬は体の向きを変えて、脚を降ろした。

踏まれずにすんだ。

ほっとする前に、馬上の人物を見てしまった。

『王子』な格好をしている。