魔物☆に恋して

ハッと我に返っても、

信じられなさそうな目を、あたしに向ける。

「失礼、今何て?」

訊かれても、とっさに出た言葉なんて、

いちいち覚えてない。

「離してください。腕が痛いでございます」

彼は、ふっと笑顔に戻る。

そうだよ、オレにあんな暴言を吐く女が

存在するわけないんだよ。

心が読めなくても、彼が頭の中で思ったことが、

恥ずかしいくらい、くっきりわかった。

「マヤはどこへ連れて行かれるの?」

「それは、行けばわかる。お前も同じところへ行くんだからな」

ぐいっと、腕を掴みなおされる。

この怪力バカはには学習能力ってものがないのか?