「・・・あたし、狙われたのかな」

「人間だからね。

ここは魔界と人間界をつなぐ通り道だ。

だから、いろんなものが通ってゆく。

クモも、ただ、人間界へ向かってただけだったんだ。

そこへ人間の香りがしたもんだから、つい、

列を乱して、サラを襲いに来た・・・だけ」

だけ、って。

「あんなのが人間界へ出て行ったら大変じゃない」

「大丈夫。魔界の空気が届かなくなると、

体が縮んで、普通の小さなクモになる。

クモのある種は、ああやって、

魔界と人間界をさまよって生きてるんだ」

「じゃあ、クモって、魔物なんだ」

「一部はね」