「何なのよー」


あゆみの声だ。


乗っているはずの
あゆみの声が聞こえる。


俺が振り向くと
反対ホームに
あゆみがいた。


「勝手に行かないでよ。」


あゆみの声は
確かに、震えていた。


「あゆみまで降りるなんて・・・
 風邪引くぞ。」


「だって・・・」


「悪かった」


俺は
あゆみにマフラーをかけ
帽子を被らせた。