次の日の朝。
「よし、頑張るぞ!」
エプロンの腰の紐をくくって気合いを入れる。
少しでも喜んでもらえるように西内君にクッキーを作ることにしたんだ。
これでも結構お菓子作り得意なんです。
てか、それぐらいしか自慢できることがない。
それはさておき、材料を測らないと。
「えーっと、小麦粉120g、バター60g………」
黙々とグラムを測っていく。
すると、
「あれ、姉貴。クッキー作ってんの?」
弟の恭太(きょうた)が2階から降りてくるなり、キッチンに入ってきた。
恭太は1つ年下の中学3年生。
そのわりに私よりもしっかりしてる……らしい。
恭太はルックスが結構いいからモテる。
私とは大違い、って感じ。
「うん、まぁね」
「お、じゃあ、俺にも頂戴!」
恭太が目を輝かす。
「ダーメッ、これは今日持ってくやつなの!」
「えーいいじゃん!」
駄々をこねる恭太。



