「え、あ……」 「じゃね」 結局関本君に渡せないまま、関本君は出て行ってしまった。 「……………。」 夢奈に返さなきゃならないのか…… 複雑、だな…… 私はしばらく立ち尽くしてから、教室に戻った。 「………はぁ。」 「どーしたの、ため息なんてついちゃってさ」 教室に戻り、すぐに机に頬杖をついた私に妃奈ちゃんが言った。 「いや、それがさ……」 私は妃奈ちゃんに受け取ってもらえなかったことを話した。